2007年6月5日火曜日

トルコの地下鉄(イスタンブール)

1.地下鉄
(1)イスタンブール
 イスタンブールは「ヨーロッパとアジアの架け橋」といわれ、世界各地からの観光客にあふれた観光都市です。この東西文明の接点ともいえるイスタンブールは、ボスポラス海峡によって、文字通りヨーロッパ側とアジア側に分かれていて、この両大陸をまたぐ「ボスポラス海峡横断鉄道」が計画されていて既に最近建設が開始されています。これは日本のODA(政府開発援助)を使って、日本の企業が参加して、ボスポラス海峡の下にトンネルを沈めて、イスタンブールの中心部を東西に結ぶ地下式鉄道(4駅、11.3kmの計画)を建設して、アジア側、ヨーロッパ側の既存の鉄道路線との相互乗り入れも実現することになっています。これが実現すると、有名な第二ボスポラス橋とともに、日本とトルコの友好の架け橋として両国にとってとても有効な建造物として歴史に残るものになるだろう、と誇らしく思えます。
現在イスタンブールには4種類の地下鉄があります。まるで世界の地下鉄博物館です。図のイスタンブール交通図で地下鉄とトラムの路線地図を示します。
いちばん古いのは地下ケーブルカーで「チュネル」と現地では呼んでいます。「チュネル」とは「トンネル」という意味のトルコ語だそうです。1875年に蒸気機関で開通したもので、世界最古のロンドンの地下鉄(1863年開業)に次いで世界で二番目に古い地下鉄になります。このチュネルの開通の歴史がたいへん面白く、フランス人のGavandという人がこの路線を発案して、当時のトルコ国王に建設を申請し、やっと許可を得たものの母国フランスには賛同する人がなく、イギリスでたいへん苦労して出資者をみつけて会社を設立し、1971年に掘削を開始しました。3年かけて完成したものの、次の国王は地下鉄道には非常に懐疑的でなかなか運行開始の許可がおりず、最初は人間の代わりに何度も何度も家畜を乗せて安全性を証明したと伝えられています。その後1905年に電気動力化され、1971年に現在のようなゴムタイヤのボギー車が採用されました。
もう一つの「フニクラー」といわれる最新の地下ケーブルカーが、2006年6月に完成しました。これは海岸沿いのトラムと本格的な地下鉄メトロとを結ぶもので、これにより旧市街と新市街との連絡が非常に便利になりました。この路線は私が訪問した時はまだ工事中でした。
第3は「ライトメトロ」という地下鉄で、旧市街の中心部からアタチュルク国際空港までの一部地下のLRT方式のメトロです。 1989年に7.0kmが開通しました。順次西の郊外に延伸されて、2002年に空港駅まで伸びました。現在全長20km、18駅で、地上はすべて専用軌道、一部(6駅)地下式です。この路線は計画によると、将来はイェニカプ駅まで延伸されて、後記のフルメトロとそこで接続される計画になっています。
最新の地下鉄は、本格的なフルメトロで「メトロ」と呼ばれています。2000年9月に7.9km、6駅が開通しました。全線地下で各駅にはエスカレーターとエレベーターが設置されています。施工はカットアンドカバーで行われ、大きな地震にも堪えられるように建設されました。各駅のホームは、形は似ていますが、色彩で区別をしています。この路線は南北へ延伸工事を行っていて、南へは市内は地下式でイェニカプ駅までの延伸工事を鋭意実施しています。しかし金角湾はトンネルではなく橋で渡る予定になっています。また北へは工科大学のあるアヤガザ駅までの延伸が見込まれています。
イスタンブールの地下鉄、トラムのキップのなかでたいへんユニークなのは、アクビルという公共交通システム共通のプリペイドの乗車券です。写真のような変わった形状をしているものです。黄色いプラスチックの取っ手にボタン電池そっくりの金属がついていて、この金属部分を自動改札機の突起部に接触させて入場します。専用窓口でお金を支払ってチャージすれば何度でも使用でき、メトロ、トラム、バス、フェリーに共通でした。ただしチュネルだけは使用不可でした。アクビルというのは、トルコ語で「賢いキップ」という意味の「アクルルビレット」を短縮した呼び名とのことです。

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