2.トラム
(1)イスタンブール
イスタンブールで19世紀から広範囲のすばらしい馬車トラムネットワークが稼動していたことはあまり知られていません。最初の路線は「コンスタンチノープル・トラム会社」の4路線の一つとして1871年に開通しました。その後1911年に電化され、ガラタ橋を中心に旧市街、新市街くまなくトラムのネットワークがはりめぐらされました。ただしアジア側にまできたのは遅れて1928年に「ウシュクダル・カドゥキョイ市民トラム会社」が1路線を開業しました。これらのトラム路線は1939年に国有化された新会社に引き継がれました。しかし戦後の自動車の急増にトラムは他都市と同様に邪魔もの扱いされて、ヨーロッパ側は1961年に、アジア側は1966年に全廃されて、バスに取って代わられました。イスタンブール市は、1990年に観光用に昔のトラム保存車両を新市街のチュネルの駅から1キロのメーターゲージに走らせて、観光客はもちろん市民にも大歓迎を受けました。
一方イスタンブール旧市街では新時代のトラムとして、LRTの新線建設を開始して1992年に26kmの開業をみました。(写真)この路線はイスタンブールの旧市街の観光のポイントを頻繁に走っているので、観光客にはとても便利です。また現に乗車してみると市民が朝早くから夜遅くまでほとんど満員に近いほど利用されていて、まさに市民の足となっていると感じました。訪問した時にこのトラムがガラタ橋を渡って数駅先まで延伸したばかりの路線に乗車してみました。その後このトラムはカバタシュまで延長になり、そこから新しい地下ケーブルカーに接続して、それに乗るとタクシム駅でメトロに乗り継ぐことができるようになりました。このルートを利用すると、新市街のレベントから旧市街のアタチュルク国際空港まで鉄道で一気につながって非常に便利になったものと思われます。
(2)イスタンブールのアジア側のカドゥキョイ
ここでもイスタンブール新市街の観光用保存トラムと同じように、2003年に37年ぶりにトラムが戻ってきました。旧東ドイツからのアンティークな2軸の中古電車を入手して、カフェやブティークなどのお店を一方向に巡回するように運行しています。訪問時にフェリーでカドゥキョイ埠頭まで行きながら、トラムまで見る時間的な余裕がなかったのは残念でした。
(3)コンヤ
アンカラの南約250kmの奇岩の連なるカッパドキアの近くに人口50万人あまりのコンヤという街があります。イスラム神秘主義の一派メヴラーナ教団発祥の地です。その教団はアタチュルクによって解散させられ、今では霊廟がメヴラーナ博物館になりこの教団の儀礼である踊りは観光用に上演されています。
このコンヤの街のメインストリートを3車体連接の路面電車が走っています。赤と白が基本ですが、窓下に広告を描いた車両や、車体を黄色や青に塗り分けた広告電車もあります。車両はドイツ製の中古車両を購入したのでしょう。そのためドイツやオーストリア等ヨーロッパでよく見かける顔をしています。(写真)赤と白の車体に大きなパンタグラフをのせていて私の大好きなタイプです。終点は市の中心にある小高いアラアッディンの丘のまわりをぐるりと一周する構造のため、片運転台片側ドアの構造で、バックにモスクがなければヨーロッパそのものです。このアラアッディンの丘には、アラアッディン・ジャミィというイスラム教の古いモスクがあります。もう一方の終点は市の北部の大学構内で、その途中にはUFOのようなユニークな構造をしたオトガルというバスターミナルがあります。余談ですがトルコではどの都市でもオトガルといわれるバスターミナルが市民の交通の中心になっています。
このトラムには乗ってきました。終点のアラアッディンの丘から数駅のみ乗ってみましたが、スピードはかなり速く、しかも乗り心地は上々でした。昼近くなのに座れないくらいの混雑ぶりでした。乗る前に小屋のようなキップ売り場でペラペラ紙の小さいキップを購入して、乗るときにそれを小さな金属の箱に大喜びで入れたと記憶しています。路線は1本のみですが、電車は次から次へとどんどん来ていました。貴重な経験でした。
以下のトラム3都市はトルコ訪問時には行くことができませんでした。トラムの内容もよくわからないことばかりです。ご興味のあるかたは下記の「Tram Picture Book」というホームページのトルコの各都市のページで、きれいなトラムの写真が見られます。(http://www.trampicturebook.de/)
(4)アンタルヤ
トルコのリビエラといわれるアンタルヤは、地中海に面したトルコ観光のメッカです。年間300日も太陽が輝くこの地域は、日光浴、水泳、ウィンドサーフィン、水上スキー、ヨット、登山、洞窟探検などの様々なスポーツが楽しめるパラダイスです。3月か4月にアンタルヤを訪れると、午前は山でスキー、午後は暖かな地中海の海で泳ぎを楽しむこともできるといわれています。松林、オリーブやオレンジの果樹園、ヤシ、アボガド、バナナ等のプランテーションが、広がる風景の中にいくつも点在しています。観光客用のホテルからデラックスなホテルまで幅の広い宿泊施設が完備され、楽しく快適な休暇が楽しめるリゾート地です。この海岸通りに1999年にトラムが開通しました。考古学博物館前のミュゼ駅からゼルダリリッキ駅までの5.1キロ、9駅、1435mmを30分間隔で2両連結のニュルンベルグからの中古トラムがのんびりと走っています。
(5)アダナ
アダナは地中海側の最大の近代工業都市でトルコ第4の人口(131万人)をもつ大都市です。綿工業を中心に繁栄してきました。2002年にトラムが開通しました。詳細は不明ですが、13.3km、13駅、1435mmのようです。
途中のヴィライット駅はインターネットで見ると大規模な地下駅になっていて、その掘削工法に苦労して地元の大学が大活躍したと出ています。
(6)エスキシェヒル
エスキシェヒルというのはトルコ語で「古い町」という意味だそうです。トルコ中部のイスタンブールとアンカラの中間にある人口51万人の中都市で、煙草パイプの材料として有名な海泡石の産地としても世界的に知られています。ここに2004年9月にトラムが誕生しました。2路線が開通し1号線9.8km、2号線4.7kmで合計14.5km、26駅、1000mmで、ターンキイベースでボンバルディアと地元の会社と契約して完成しました。車両はボンバルディア製のFlexity Outlookの100%低床の車両を5両連結18セットで運用しています。
(1)イスタンブール
イスタンブールで19世紀から広範囲のすばらしい馬車トラムネットワークが稼動していたことはあまり知られていません。最初の路線は「コンスタンチノープル・トラム会社」の4路線の一つとして1871年に開通しました。その後1911年に電化され、ガラタ橋を中心に旧市街、新市街くまなくトラムのネットワークがはりめぐらされました。ただしアジア側にまできたのは遅れて1928年に「ウシュクダル・カドゥキョイ市民トラム会社」が1路線を開業しました。これらのトラム路線は1939年に国有化された新会社に引き継がれました。しかし戦後の自動車の急増にトラムは他都市と同様に邪魔もの扱いされて、ヨーロッパ側は1961年に、アジア側は1966年に全廃されて、バスに取って代わられました。イスタンブール市は、1990年に観光用に昔のトラム保存車両を新市街のチュネルの駅から1キロのメーターゲージに走らせて、観光客はもちろん市民にも大歓迎を受けました。
一方イスタンブール旧市街では新時代のトラムとして、LRTの新線建設を開始して1992年に26kmの開業をみました。(写真)この路線はイスタンブールの旧市街の観光のポイントを頻繁に走っているので、観光客にはとても便利です。また現に乗車してみると市民が朝早くから夜遅くまでほとんど満員に近いほど利用されていて、まさに市民の足となっていると感じました。訪問した時にこのトラムがガラタ橋を渡って数駅先まで延伸したばかりの路線に乗車してみました。その後このトラムはカバタシュまで延長になり、そこから新しい地下ケーブルカーに接続して、それに乗るとタクシム駅でメトロに乗り継ぐことができるようになりました。このルートを利用すると、新市街のレベントから旧市街のアタチュルク国際空港まで鉄道で一気につながって非常に便利になったものと思われます。
(2)イスタンブールのアジア側のカドゥキョイ
ここでもイスタンブール新市街の観光用保存トラムと同じように、2003年に37年ぶりにトラムが戻ってきました。旧東ドイツからのアンティークな2軸の中古電車を入手して、カフェやブティークなどのお店を一方向に巡回するように運行しています。訪問時にフェリーでカドゥキョイ埠頭まで行きながら、トラムまで見る時間的な余裕がなかったのは残念でした。
(3)コンヤ
アンカラの南約250kmの奇岩の連なるカッパドキアの近くに人口50万人あまりのコンヤという街があります。イスラム神秘主義の一派メヴラーナ教団発祥の地です。その教団はアタチュルクによって解散させられ、今では霊廟がメヴラーナ博物館になりこの教団の儀礼である踊りは観光用に上演されています。
このコンヤの街のメインストリートを3車体連接の路面電車が走っています。赤と白が基本ですが、窓下に広告を描いた車両や、車体を黄色や青に塗り分けた広告電車もあります。車両はドイツ製の中古車両を購入したのでしょう。そのためドイツやオーストリア等ヨーロッパでよく見かける顔をしています。(写真)赤と白の車体に大きなパンタグラフをのせていて私の大好きなタイプです。終点は市の中心にある小高いアラアッディンの丘のまわりをぐるりと一周する構造のため、片運転台片側ドアの構造で、バックにモスクがなければヨーロッパそのものです。このアラアッディンの丘には、アラアッディン・ジャミィというイスラム教の古いモスクがあります。もう一方の終点は市の北部の大学構内で、その途中にはUFOのようなユニークな構造をしたオトガルというバスターミナルがあります。余談ですがトルコではどの都市でもオトガルといわれるバスターミナルが市民の交通の中心になっています。
このトラムには乗ってきました。終点のアラアッディンの丘から数駅のみ乗ってみましたが、スピードはかなり速く、しかも乗り心地は上々でした。昼近くなのに座れないくらいの混雑ぶりでした。乗る前に小屋のようなキップ売り場でペラペラ紙の小さいキップを購入して、乗るときにそれを小さな金属の箱に大喜びで入れたと記憶しています。路線は1本のみですが、電車は次から次へとどんどん来ていました。貴重な経験でした。
以下のトラム3都市はトルコ訪問時には行くことができませんでした。トラムの内容もよくわからないことばかりです。ご興味のあるかたは下記の「Tram Picture Book」というホームページのトルコの各都市のページで、きれいなトラムの写真が見られます。(http://www.trampicturebook.de/)
(4)アンタルヤ
トルコのリビエラといわれるアンタルヤは、地中海に面したトルコ観光のメッカです。年間300日も太陽が輝くこの地域は、日光浴、水泳、ウィンドサーフィン、水上スキー、ヨット、登山、洞窟探検などの様々なスポーツが楽しめるパラダイスです。3月か4月にアンタルヤを訪れると、午前は山でスキー、午後は暖かな地中海の海で泳ぎを楽しむこともできるといわれています。松林、オリーブやオレンジの果樹園、ヤシ、アボガド、バナナ等のプランテーションが、広がる風景の中にいくつも点在しています。観光客用のホテルからデラックスなホテルまで幅の広い宿泊施設が完備され、楽しく快適な休暇が楽しめるリゾート地です。この海岸通りに1999年にトラムが開通しました。考古学博物館前のミュゼ駅からゼルダリリッキ駅までの5.1キロ、9駅、1435mmを30分間隔で2両連結のニュルンベルグからの中古トラムがのんびりと走っています。
(5)アダナ
アダナは地中海側の最大の近代工業都市でトルコ第4の人口(131万人)をもつ大都市です。綿工業を中心に繁栄してきました。2002年にトラムが開通しました。詳細は不明ですが、13.3km、13駅、1435mmのようです。
途中のヴィライット駅はインターネットで見ると大規模な地下駅になっていて、その掘削工法に苦労して地元の大学が大活躍したと出ています。
(6)エスキシェヒル
エスキシェヒルというのはトルコ語で「古い町」という意味だそうです。トルコ中部のイスタンブールとアンカラの中間にある人口51万人の中都市で、煙草パイプの材料として有名な海泡石の産地としても世界的に知られています。ここに2004年9月にトラムが誕生しました。2路線が開通し1号線9.8km、2号線4.7kmで合計14.5km、26駅、1000mmで、ターンキイベースでボンバルディアと地元の会社と契約して完成しました。車両はボンバルディア製のFlexity Outlookの100%低床の車両を5両連結18セットで運用しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿