2007年6月5日火曜日

トルコの地下鉄(ブルサ)

(4)ブルサ
イスタンブールとマルマラ海の対岸にあるブルサは、人口132万人の商業都市で、農産物の集積地であり、絨毯などの毛織物の産地としても有名です。緑のブルサともいわれていて、旧市街はローマ時代の城壁に守られていて、遺跡と樹木の多い、落ち着いた古い街です。1326年にオスマン王朝は最初の首都をこのブルサに定めました。もっと古くはシルクロードの一つの終点はこのブルサであったとも伝えられています。市内には今でも温泉が湧き出し、すぐ近くには緑豊かなウル山の山麓地帯が広がるトルコ有数の観光地です。この由緒ある古い都に2002年に最初の地下鉄が開通しました。
 ブルサ市の市域は東西双方向へ40kmも伸びており、また市内は勾配が急で狭い道路が多く、公共的な大量輸送網の整備が課題となっていました。今回の地下鉄開通区間は1997年に建設が開始され、市の北部と西部に位置する産業地域と市中心部とをY字状に結ぶ路線です。ヨーロッパ風のとても感じの良いブルサの地下鉄は2002年8月に開通しました。東西線(2号線)と途中からY字のように分岐した北線(1号線)とからなり、大部分は既存の道路の中央分離帯部分を走行し、市中心部の4kmは地下を走行しています。4か所の幹線道路との交差点では道路は地上を通り、電車は地下で幹線道路と交差するようになっています。なお、ほとんどの地上駅ではホームの下の地下部分に駅のコンコースが設けられていて、駅に入るには歩道から道路の下の地下通路を通って入る方式になっています。
 電車はドイツ製の写真のような清潔な車両で、3~4分間隔で走行しています。ワンマン運転で運転手がマイクで案内するとか、冷房装置はなしで夏季は窓を開けて走るとか、各駅でたくさんのバス路線と連絡しているとか、数駅でパークアンドライドを試験的に始めたなど、数々のユニークな施策を実施しています。この地下鉄を運行しているブルサライという会社の社員が、私が訪問した時に案内してくれましたが、非接触式ICカードを普及させるために、これを使用する場合には運賃は半額になる、などこの地下鉄の運用の特長を出すための苦労話をたくさん説明してくれました。
現在計画されている都市鉄道網は、単に市中心部をカバーするだけでなく、都市圏を構成するマルマラ海に面する港湾地域とを結ぶもので、全長55kmのネットワークを4段階に分け、2015年までの完成を目指しているとのことです。最近現在の終点駅から東方向に旧市街地の中心部の地下4kmの延伸工事が開始され、その完成の後は、乗客数30%以上増加するものと期待されているとのことです。現地を見学してみると延長工事をしている地域は旧市街の中心部で、有名な緑色のモスク等の多くの古いモスク、霊廟、博物館、美術館などがあり人々で街があふれていました。早急な地下鉄延長区間の開通が待たれているのが実感できました。長期的にはその先の東方面の大学までの延伸と、市北部のバスセンターへの支線が引き続き計画されているようです。

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